女子エアライフル
1時間15分の間に、得点の上位8人がファイナルに進出。
10発を撃って予選との合計で得点を競う。10b先の標的
は直径46_の円。その中心の0.5_の点を撃ち抜くと10点
(ファイナルは10.9点)。女子の国際大会で満点を出した選手は
一人もいない。

朝日新聞 1999年10月5日 掲載
汗キラリ ’99秋
勝ち続けて終わりたい
@ 最後の国体に挑むビームライフルの女王
堀江 由紀さん(27)
日本女子ビームライフル界の「女王」は、十二回目の出場となる今月下旬の国
体に、特別な気持ちで臨む。結婚を機に、今シーズン限りで一線を退く決意を
固めたのだ。国内タイトルを総なめにしてきた中で、国体を制したのはたった一
度だけ。「勝ち続けて終わりたい」。そんな美学を貫くためにも、国体に向け、
最後の調整に励んでいる。
一五六センチ、四二`。握力は二〇`くらい、長距離走は大の苦手。四・五`
もあるライフル銃を操って、勝ち続けてきた記録からは想像できないきゃしゃ
な体だ。
しかし、テーブルにひじをついて銑を構えると、目つきが鋭くなる。まるで
「獲物」を狙っているようだ。銃口から発射されたビーム光線が、次々と的の真
ん中を射抜いていく。
私立の津島女子高校に入学したとき、「変わったスポーツをやってみたい」
と、その年に創部したばかりの射撃部の門をたたいたのが、この世界に入ったき
っかけだ。高校時代は目立った存在ではなかったが、社会人になってから頭角を
現した。一九九四年の愛知国体で優勝したほか、全日本選手権や社会人選手権を
はじめ、国内のあらゆるタイトルをものにしてきた。
特に得意とする「ビームライフルひじ撃ち四十発」は、四十分で四十発撃ち、そ
の正確さを競う。上位の選手になると、四十発すべて真ん中を射抜くことは珍し
くない。一発でも外すと脱落する試合もある。集中力を要求されるスポーツだ。
強さの秘けつについて、指導にあたってきた県ライフル協会理事の神田元昭さ
ん(五一)は「試合が始まると、完全に気持ちを入れ込むことができる点が際だってい
る。愛知国体では会社の同僚が応援に来てプレッシャーがかかったはずだが、そ
んなときにこそ強さを発揮する力がある」と話す。
試合前は「絶対に優勝したい」と考えるというが、銃を握るとそうした雑念が
吹き飛ぶ。「自分の射撃をしよう」。それだけ考えて試合でマイペースを貫いて
きたら、成績が自然とついてきた、とこれまでの輝かしい成績を振り返る。
五月に会社の同僚と結婚した。「これまでの成績に満足している。自分の生活を
一番にしたい」と考えるようになり、最近になって一線を退く決意を固めた。そ
んな折の九月下旬の社会人選手権は十位に終わった。
残る試合は、十日からの全日本選手権と国体だけになった。「いまのレベルか
ら落ちたくない。勝ち続けたまま現役を終わりたい」。最後の二つの大会に
向け、残りわずかな日数、調整に集中していく。
来シーズンからは、県内の後進の選手の指導にあたる予定だ。「ビームライフ
ルは子どもでも気軽にできるスポーツ。銃を使うので取っ付きにくいかもしれな
いが、体力に自信がない人でもできるので、もっと多くの人に楽しんでもらいた
い」。
◇
秋。気持ちいい汗をかくことができる時期になった。楽しみながらスポーツ
に取り組む人たちや青春をかける選手を紹介する。
文・写真 増谷 文生
